熱中症で病院で治療を受ける場合、点滴はする?時間や費用は?
毎年夏になると連日のように熱中症の注意を呼びかけるニュースを目にするようになってきました。熱中症は症状や状態で重症度が分けられます。重症度に基づいて、病院では応急処置や必要ならば点滴も行います。ここでは熱中症の際に病院で行う点滴に焦点をあてて、ご紹介しましょう。
熱中症で病院で治療を受ける場合の点滴はするの?
熱中症になったら点滴をするというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。まず熱中症は熱疲労、熱痙攣、熱失神、熱射病の4つに分類されます。熱失神や熱痙攣では頭痛や目眩、筋肉の痙攣程度で済み、早い応急処置(冷却や水分補給)である程度回復することが可能です。この段階では自力で水分補給ができれば、点滴を行うことはしないでしょう。熱中症の応急処置は水分の経口摂取を優先します。
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しかし熱疲労で吐き気、嘔吐が強い場合や一番重症である熱射病では意識障害が起こることがあり、自力での水分補給は難しくなります。そういった場合に医師が判断して点滴を行うことがあります。ですから熱中症の治療の点滴は症状や状態を見て、臨機応変に行うと考えていいでしょう。
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熱中症で点滴を打つと治るってほんと?
「熱中症になってしまったので、点滴を打ってください!」と病院に駆け込む人もいるようです。熱中症で脱水の応急処置で点滴を打って治すというのは誤解です。失われた水分を補給するなら、口から飲むことが一番優先されます。
WHOの見解でも
「口から水分を補給する経口摂取が年齢を問わずファーストチョイス」
としています。意識障害があり経口摂取ができない時や、小さな子供で水分をなかなか受け付けてくれないなど、緊急の場合には点滴を行うことはあるかもしれません。
点滴の中身は?何に有効?
熱中症の治療で行う点滴には種類があって、脱水の状態によって医師が判断して使い分けます。点滴の中身はナトリウムやカリウム、酢酸や乳酸が配合され、必要ならばブドウ糖も加えます。治療ではまず体を冷却しながら、生理食塩水を急速に点滴し生命の危機を脱出することから始めます。
それと同時に血液検査を行い、体内の状態を確認して電解質のバランスを調整する点滴を選びます。この一連の流れを見ても、血液検査を行いながら点滴治療や薬物治療を行うので、集中治療室設備の整った病院でなければ対応することができません。ですから熱中症の症状が重症である場合には、救急車を呼ぶことが一番なのです。
点滴をする時間や費用は?
通常大人ならば500~1000mlの点滴をするようですが、比較的症状が重くなければそれより少ない量で様子を見ることもあるようです。患者の症状や体重によっても差がありますが、点滴自体は30分~1時間前後で終わり、休息して様子を見ながらその日に帰ることができます。その場合の費用は初診料込みで保険適用の1000~2000前後で済むようです。
しかし重症であった場合は別です。熱射病の暑さで脳や内臓の機能がやられてしまうと、後遺症がないかどうかの検査が必要となります。そのような場合、しばらく入院ということにもなるでしょう。費用は病院や入院日数、検査項目によっても幅があるので、後日請求されるまで待つしかありません。
いずれにせよ、入院するまで重症になる前に水分補給や休息などの自己管理をして予防するべきでしょう。周りの人との声かけも重要です。普段からコミュニケーションを取って、「ちょっとおかしいかな?」と思ったら声をかけてみる、自分で助けを求めるなどの勇気も必要。連携して熱中症予防に努めましょう。
熱中症について症状や対処法を以下に詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。