夏風邪の熱が下がらない!無理に下げると重症化する2つの原因
夏風邪を引いたようだけれど、安静にしていてもなかなか熱が下がらない。熱が高く上がって、これはただの夏風邪なのか分からない、ということがあります。熱が長引く場合、高熱が出る場合、それぞれ、ただの夏風邪ではなく、別の病気が隠されている可能性があるのでしょうか。また、熱を下げるために、どのような対応をすればよいでしょうか。
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熱がなかなか下がらない原因
風邪はウィルスによって引き起こされます。感染したウィルスによって、病名がついているものもあります。発熱が長引く場合、夏風邪の中でもプール熱が熱が長引く傾向にあります。また、一見、風邪の症状ですが、マイコプラズマ肺炎であると熱が長引く傾向にあります。風邪から中耳炎を起こすと、今度は中耳炎で発熱する可能性もあります。
プール熱の可能性
アデノウィルスが引き起こす風邪です。アデノウィルスは、扁桃腺やリンパ節で増えていきます。潜伏期間は5~7日です。プールの水で感染することが多いため、この名前がついています。飛沫や接触でも感染します。喉の痛みがある、扁桃腺が腫れる、目が充血する、といった症状があります。
急に40℃近い熱が出ることがあります。昼間は下がることが多く、高熱と微熱の間を行ったり来たりし、およそ5日間で収まっていきます。何日か経っても熱が引かない場合、プール熱の可能性があります。
マイコプラズマ肺炎の可能性
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ細菌に飛沫感染することで発症します。冬に流行しますが、一年を通してかかる可能性があります。熱がなかなか下がらないので再診を受けたら判明した、というケースもよくあります。症状が出て、4~5日目にレントゲンで診断できるようになるため、判明するのがおくれてしまいます。
マイコプラズマ肺炎の咳は、乾いた咳から湿った咳になっていくのが特徴です。ヒューヒューいう咳が続けば、マイコプラズマ肺炎にかかっている可能性があります。熱は下がっていたのに40度近くまで上がったり、微熱だったのに夜になると高温になったり、長引く傾向にあります。熱が引いた後も咳が残るのが特徴的です。
中耳炎の可能性
乳幼児の場合、風邪を引いた後、ウィルスが鼻と耳をつなぐ耳管に入り、中耳炎を引き起こすことがあります。10歳までの子がかかりやすく、風邪を引いた後は多くの子が患っています。中耳炎で熱が出ることもあります。乳幼児では40℃近くまで上がることも多いです。熱は2~3日で引くことが多いです。
耳だれが出れば判明しますが、中で膿んでいるだけでは分かりにくいです。まだ「痛い」と訴えられない乳幼児で、鼻水が止まらない、耳を触ろうとする、不機嫌で泣いたりすることがあれば、耳鼻科で診察を受けてみましょう。
髄膜炎の可能性
脳やせき髄を覆う保護膜に、炎症を起こす病気です。ウィルスや細菌の感染により起きます。熱が出る、頭痛が続く、うなじが硬直する、といった症状が出ます。進行すると意識障害などが起き、命にもかかわります。そのため、予防策として、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを打ちます。
高熱が出る原因
40℃近い熱が出ると体力を消耗します。子供が高熱を出すと、目もうつろになり、見ているほうは心配です。上記のプール熱、マイコプラズマ肺炎、中耳炎も短期的に高い熱が出る人もいますが、ここでは特に高熱の症状が特徴的な病気をあげます。
ヘルパンギーナの可能性
エンテロウィルスが引き起こす風邪で、飛沫や接触によって感染します。腸管でウィルスが増えていきます。潜伏期間は2~5日程度です。発症すると、咳はあまりしないものの、のどの痛みがかなり激しくなります。口の中に水泡が出来ます。熱は高く、38℃から40℃近くまであがります。熱は2~4日出ます。熱が下がってくると水泡も快方に向かいます。大人に感染した場合も39℃を超える熱が出ます。
突発性発疹
急に38℃~40℃の高熱が出ます。熱が下がると全身に赤い発疹が出来ます。6ヶ月から1歳未満の赤ちゃんがかかることが多いです。初めての発熱が突発性発疹という子もいます。熱が3~4日続いた後、下がり、発疹が半日ほどで広がります。かゆみはあまりなく、お腹や背中を中心に出ます。発疹は2~3日後に徐々に消えていきます。
川崎病の可能性
川崎病は主に4歳以下の乳幼児がかかる全身性血管炎です。最初はかぜに似た症状で、発熱、咳、鼻水などがあります。39℃から40℃の熱が5日以上続く、赤い発疹が全身に出る、手のひらや足の裏が赤くむくんで固くなる、唇が荒れ、舌も腫れて発疹が出る、目が充血する、首のリンパ腺が腫れる、などの症状が合わせて起こります。なお、溶連菌も舌が赤く腫れて高い熱が出るため、症状が似ています。溶連菌の場合は、鼻水や咳は出ません。
デング熱の可能性
ウィルスを持ったネッタイシマカやヤブカに刺されたときに感染します。2~4割の人が、38℃から40℃の熱を出します。頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹という症状も現れます。3~5日で熱が下がり、治りかけたところで発疹が出るのが特徴です。
熱を下げるには
風邪を引いた時の基本は、睡眠をとること、栄養をとること、水分を取ることです。寒気がして、これから熱が上がりそうだ、というときは、特に温かい飲み物をとって、体を温めます。体温が上がるということは、体がウィルスと戦おうとしている表れ、抗体を作っている段階でもあります。プール熱やヘルパンギーナには専用の薬はなく、体の免疫で治っていきます。
このタイミングで、熱を下げようとすると、かえって長期化します。熱を下げるために保冷剤などを使って体を冷やすのは、熱が上がり切って体がしっかり温まってからです。保冷剤はリンパ節の近くに、必ずタオルなどを巻いてから当てます。
また、病院で診察を受けた際に、座薬を処方されることがあります。座薬を使うと腸で吸収されるため、早く熱が下がります。熱性けいれんを起こしやすい子供には、必要な薬です。ただ、直腸に負担をかけるため、必ず規定の間隔を空けて使用します。