ステージが上がれば高額費用も?子宮体がんの原因と症状と治療法
子宮体がんの発症する年齢は、40代頃からで50代がピークといわれていますが、実際20代、30代でも10%程度の人が発症します。ここでは、子宮体がんのリスク因子、原因などわかり易くお伝えします。
この記事の見出し
子宮体がんのリスク因子と原因
子宮体がんのリスク因子
子宮体がんのリスクとして肥満、出産経験がない、乳がんによるホルモン剤の投薬、食生活の欧米化などが因子として考えられています。また20代、30代に多い不規則な生活習慣が原因で月経不順になることも大きなリスク因子です。
子宮体がんの原因
直接の原因としては、女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。エストロゲンは月経が近くなると分泌し、子宮内膜を増殖させる効果があります。
その後、排卵が起こり着床しないと子宮内膜が剥がれ落ち月経が起こるというサイクルですが、閉経が近くなってくる年代になると排卵が起こらなくなくなってくるので注意が必要です。
排卵がなければ、増幅させた子宮内膜を抑える働きをするプロゲステロンが上手く分泌されません。すると子宮内膜が増殖したままになり、子宮内膜増殖症になっていくのです。
その中でも「子宮内膜異型増殖症」になり進行すると、およそ30%が子宮体がんになっていくといわれています。また患者の10%程度は、エストロゲンが関係していない子宮体がんと言われていますので、検査を受けないとはっきりとした原因はわかりません。
子宮体がんの初期症状と自覚症状
子宮体がんの初期症状としては、不正出血、褐色のおりものが続く、下腹部痛が続いたりします。出産経験がなかったり、閉経後の発症は、子宮口が堅いので、子宮内に出血や膿などがたまってしまう場合もあり、次第におりものの色が血色になってきたり、異臭を放つようになります。
子宮体がんの進行
子宮体がんのステージは、0期~Ⅳb期まであります。0期の子宮内膜増殖症とⅠa期のがんが子宮内膜にとどまっている場合にのみ、患者が将来の妊娠を強く希望すればホルモン剤治療を行う場合があります。
また末期にもホルモン治療を行いますが、基本的には子宮全摘出と両側付属器摘出(卵巣、卵管)を行います。手術は開腹によって行われるのですが、術中にステージの進行がみられれば周辺も摘出する可能性があります。
子宮体がんのステージ
子宮体がんのステージは、Ⅰ期~Ⅳ期まで分けられ、ここからさらに細かく分類されています。ここでは、0~Ⅳ期までの5段階をお伝えします。
- 0期 子宮内膜増殖症(ここで異型増殖症と診断されるとがんに進行する可能性がある)
- Ⅰ期 がんが子宮体部のみにある
- Ⅱ期 がんが子宮体部を越えて頚部まで広がっている(子宮内にとどまっている)
- Ⅲ期 がんが子宮体部だけでなく骨盤内や大動脈付近のリンパ節に転移している
- Ⅳ期 がんが膀胱や腸、そけい部などにも転移している
子宮体がんの末期症状
がんが進行してステージがあがるごとに、リンパ節の転移や他の臓器への転移がみられていきます。よく耳にする5年生存率ですが、ステージⅠの5年生存率90%に比べるとステージⅣのは20%程度です。
発症後の治療について
診断された後、、MRIなどを使った画像診断で癌の広がりを調べていきます。また子宮体がんの組織型にはいくつかの種類があり、進行が早いタイプ、抗がん剤が効きにくいタイプなど様々です。
基本的には子宮と卵巣、卵管を全摘出する手術方法がとられています。その後、抗がん剤治療をするケースが多いようです。医師とよく話しあい、セカンドオピニオンを利用するなどして納得して納得して治療を開始しましょう。
転移の可能性
子宮体がんの手術は、基本子宮と卵巣、卵管を一度に取り出すのですが、それは転移を防ぐためでもあります。手術後は抗がん剤治療を進めながら、経過観察していくということになるでしょう。子宮の周りには、骨盤、腸、膀胱などもあるので合わせて転移の可能性を持っています。
5年生存率と再発の可能性
子宮体がんの5年生存率は、ステージⅠ期は90%以上、Ⅱ期は80%以上と全がんの中でも生存率が高いです。早期発見、早期治療で完治できるがんといえるでしょう。
広汎子宮全摘出(子宮・卵巣・卵管)を行った後の再発が確認された場合、多くの場合は手術ではなく、放射線や抗がん剤などによる治療になります。個人によって再発の状態は異なるのでさらに詳しい検査をした対処が求められてきます。
治療費について
手術費用は、広汎子宮全摘出術と入院費用なども含めて約120万円程度です。がんと確定されるまでの検査費用、手術後の経過観察費用などは別に必要になります。がん保険に加入しておくのも効果的です。
また健康保険に加入していると収入金額に応じて「高額療養費制度」があるので、合わせて活用していきたいです。
その他、実際の治療費以外の交通費、差額ベッド代などは健康保険が適用されません。意外と負担が重い治療費以外の金額も視野に入れて考えていく必要がありそうです。自分ののQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を考え、納得した上で治療を開始していくことが大切です。