七夕に願い事を書くのに短冊を使った由来と5色の意味
七夕(しちせき)とも言われる七夕(たなばた)は、江戸時代に五節句として定められました。それからというもの長い年月が経った今でも、人々に広く親しまれてきました。七夕は神秘的でロマンチックな雰囲気がありますが、その由来を遡ってみると様々な歴史が折り重なってできたものだと分かります。ここでは七夕や短冊についての由来を探ってみましょう。
七夕の由来とは?
七夕の短冊について考える前に、まず七夕の由来について知らなければ前に進めません。そもそも日本で五節句の1つとして七夕行事が行われるようになった由来は何でしょうか。中国から伝来した乞巧奠(きこうでん)という宮中行事、誰もが知っている織姫と彦星の七夕伝説が深く関わっているとされています。
さらに日本では「棚機」(たなばた)と呼ばれる神事行事があり、七夕を「しちせき」ではなく「たなばた」と呼ぶようになった歴史があります。それらの行事や言い伝えを含めた色々な歴史が合わさって、日本独自の七夕行事となっていったのでしょう。
参考:七夕の織姫と彦星の星座に隠された伝説!話を紐解いた1つの謎
短冊が始まった由来とは?
七夕行事で外せないのが、短冊に願いごとを書くことです。子供の頃は思い思いに、本気で願いごとを書いて笹の葉に飾っていた方も多いのではないでしょうか。子供らしい願いごと「ヒーローやお姫さまになれますように」など、子供たちが書いた短冊を見ると微笑ましい気持ちになるものです。
さて七夕に願いごとを書くのに短冊を使ったのはどんな由来があったのかということですが、中国から伝来した乞巧奠が関係しています。乞巧奠が日本に渡ってきたのは奈良時代のこと。乞巧奠の機織りや裁縫が得意だった織姫にあやかって、女の子の技術が上達しますようにと糸がお供えされていました。
それから宮中での行事が庶民へと伝わっていく段階で、お供え物に使われていた糸は庶民にはとても高価だったことから、次第に紙へと変化していきました。高価だった糸の代わりに紙を切ったものを供え物としたのが「短冊」の始まりと言われています。つまり日本で七夕の短冊が始まって、人々に広まっていったことがこれで分かります。
短冊に願いごとを書くようになった由来とは?
まだ七夕行事が宮中だけであった頃、今の短冊に願いごとを書く風習の起源がありました。カラドリという里芋の仲間の葉に溜まった水滴で墨をすり、それを梶の葉に字を書いて笹の葉に飾るようになりました。これで書道の技術が上達すると言い伝えられていたのです。
最初の時点ではまだ願いごとを書くわけではありませんでした。長い年月をかけて、次第に書道や芸事が上達しますようにと願いが込められるようになっていくのです。この風習が江戸時代に入ってから、短冊に願いごとを書いて笹の葉に飾ると願いが叶えられると言われるようになりました。
短冊の色には意味があった?
短冊には5色あるのですが、全て意味が込められています。この5色の元となったのは、中国の陰陽五行説からです。陰陽五行説は「木、火、土、金、水の5つの要素が世の中の根源である」という考えのもと、それぞれ色が決まっています。木は青、火は赤、土は黄、金は白、水は紫となっており、短冊の色も5色で色によって意味が異なっているのです。
- 青…人間力を高める
- 赤…両親や祖先に感謝する
- 黄…人との付き合いを大切にする
- 白…義務やルールを守る
- 紫…学業を向上させる
このような意味があり、短冊に願いごとを書く際にはそれぞれの意味に近い色の短冊を選ぶと良いとされています。短冊の色の意味を知っていると、願いごとを書く際にまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
また、七夕に関する歴史的な由来や各地で行なわれる最新のイベント情報については、こちらに詳しくまとめていますのでぜひご参考ください。