出産や妊娠の影響は?胞状奇胎の原因と再発の確率、治療法について
胞状奇胎の原因、確率、症状についてお知らせします。また、治療方法や手術費用についてもお知らせします。出産や妊娠への影響についても述べていきます。
胞状奇胎の原因
胞状奇胎とは、女性の子宮で起きる病気で、妊娠によってかかります。子宮の中に、ブドウの房のようなものが出来てしまい、それが増殖していきます。胞状奇胎は、全胞状奇胎と部分胞状奇胎に分類されます。それぞれの原因を見ていきます。
全胞状奇胎の原因
胞状奇胎の原因は、受精する精子と卵子の受精の異常によって起こります。全胞状奇胎と部分胞状奇胎の二つに分類されます。
全胞状奇胎は、何らかの原因で母親の卵子の核がなくなったか、最初から核を持たない卵子と受精してしまい、父親のDNAのみで細胞が作られていきます。胎芽や胎児が存在せず、子宮の絨毛がつぶつぶのぶどうの房のようになってしまいます。
部分胞状奇胎の原因
一方、部分胞状奇胎は、精子2つと卵子1つが受精した3倍体から作られていきます。どちらも正常な2倍体に発育しませんが、部分胞状奇胎は、胎児成分が存在することが多いです。
しかし、流産してしまったり、子宮内容掻把術が行われたりすることが多いようです。
胞状奇胎が起きる確率と症状
胞状奇胎は、妊娠している人の500人に一人の頻度で起こります。また、40歳以上になると、若干、病気にかかる可能性が高くなります。親から子へと遺伝する病気ではありません。
一度、胞状奇胎にかかったひとが再発する可能性は2%です。経膣エコーでぶどうの房のような粒が確認されることで判明します。
また、血液中、もしくは尿中のhcgという妊娠性ホルモンの値が正常値より高くなるので、hcgの測定が診断に用いられます。
妊婦に起きる症状としては、妊娠初期に現れるものと似ており、出血、腹痛、つわり、むくみ、高血圧などがあります。また、増えるスピードが早いため、子宮が正常な妊娠より大きくなります。
手術費用と医療保険
胞状奇胎では、全胞状奇胎、部分胞状奇胎ともに、子宮内部で胞状になっている部分を除去する手術・子宮内容掻把術を行います。手術は一週間、間隔を置いて、二回行います。一度に除去されない場合もあるからです。日帰り入院での手術が行われることが多いです。
手術費用は、およそ5万円前後が一般的です。生命保険で胞状奇胎が手術給付金の対象となっている場合は、受け取ることが出来ます。対象となっていない場合でも、入院給付金が下りることがありますので、保険会社に確認するとよいです。
申請する際には診断書が必要となります。診断書は医師に書いてもらいますが、5000円ほどかかることが多いです。手術後は、保険のことまで手が回らなくて、手続きが遅れることもあるでしょう。その場合でも、約款で定められた期間内であれば、申請は可能です。気が付いた時点で保険会社に相談してみましょう。
再発のリスク 出産や妊娠への影響
胞状奇胎の再発のリスクは高くはなく、2%ほどです。ただ、除去手術を行うと、hcgの値は低くなっていくのですが、10~20%の割合で、侵入奇胎を発症する可能性があります。侵入奇胎とは、胞状奇胎の組織が子宮の筋肉の中に入ってしまう病気です。
症状が進むと、組織が子宮の筋肉を破って出血したり、膣まで入り込んだりしてしまいます。40歳以上で胞状奇胎にかかった場合、20%の確率で起きる病気です。そのため、胞状奇胎の術後も、通院して経過を見る必要があります。
薬が効く病気でもあるので、医師の診察を受け続けることが重要です。
また、胞状奇胎を発症した後に、絨毛がんを引き起こす可能性もあります。これは、絨毛の膜ががん化してしまうものです。抗がん剤、放射線が効く病気でもあるので、やはり経過を見て早期発見に努めることが大切と言えます。
胞状奇胎の手術後、hcgの数値が低くなっていけば、医師から妊娠の許可が出ます。避妊が必要な期間は、半年から2年が多いです。お子さんを望んでいるのに胞状奇胎という診断が下りたら、大変つらい思いを抱えてしまうでしょう。次の妊娠への不安を持ちながら、長い期間、通院することになります。
しかし、胞状奇胎を経て妊娠・出産している方もたくさんいらっしゃいます。決して、もう子供を望めない、という病気ではありません。