大人になって影響は?赤ちゃんの股関節脱臼の症状と治療法
生後数週間から数ヶ月の赤ちゃんに見られる病気として挙げられるのが股関節脱臼です。赤ちゃんは大人と違って股関節が不安定な状態で、とても外れやすいのです。股関節が外れてしまう股関節脱臼は赤ちゃんには痛くはないとされていますが、放置しておくと様々な股関節障害を引き起こすことがあります。ママがちゃんとケアしてあげれば、今後の状態も良くなっていくとも言われていますから知識として身につけていきましょう。
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赤ちゃんに見られる股関節脱臼の症状とは?
股関節脱臼は症状の程度で3種類に分別することができます。股関節と足の骨が完全に外れた状態の「股関節脱臼」、股関節から足の骨がずれていたり、外れかかっている状態の「亜脱臼」、股関節の発育が不十分である「股関節臼蓋形成不全」の3タイプです。
どれも赤ちゃんには痛みを感じていないために、泣いて知られてくれません。早期発見、早期治療をすれば今後の経過が良くなるので、股関節脱臼の症状がないかよく観察してみましょう。以下に主な症状のチェック項目を挙げてみます。
- 両足を揃えると左右の足のシワの数が異なっていませんか?
- 左右の足の長さが異なっていませんか?
- 股関節を動かすとポキポキと異音がしませんか?
- 股関節が開きにくく動きが堅く感じませんか?
- 片足だけオムツが履かせにくいことはありませんか?
- 足を引きずって歩きにくそうにしていませんか?
以上のような股関節脱臼の症状が見られた場合には、小児科や形成外科を受診しましょう。新生児期の段階では診断することが難しく、3、4ヶ月頃から診断可能になるようです。乳児検診は必ず行くようにし、早めに気付いてあげることが大切です。
先天性股関節脱臼とは?
先天性股関節とは先天的に股関節が外れやすい赤ちゃんに何らかの誘因が加わって、股関節が外れてしまう病気です。
しかし先天性と名前が付いていますが、実際は脱臼した状態で生まれてくる赤ちゃんは殆どいません。約9割程が後天性であると言えます。そのためここ最近欧米では「先天性」ではなく「発育性」という言葉を使い、「発育性股関節形成不全」とも言うようになってきました。
股関節脱臼の治療法は?
股関節脱臼の治療法は以下の4つがあります。
①日々の姿勢を見直す
赤ちゃんの自然な足の状態はM字になっていることです。日々の姿勢が自然な姿勢を保てるように気を付けてあげます。特に寝ているときや抱っこするときに赤ちゃんの姿勢を見直して、窮屈になりそうな衣服は避けましょう。
②器具を装着する
自宅での姿勢ケアで改善が見られなければ、生後3~6ヶ月頃からリーメンビューゲルというヒモ状の器具を装着し治療します。これで赤ちゃんの自然な姿勢に導いてくれるので、軽度の症状であれば殆どが治ります。
③牽引療法を行う
生後7ヶ月頃、器具を装着してもなかなか改善が見られずに、脱臼症状が進行している場合には足を引っ張る牽引療法を行います。病院によっても多少違いますが、段階を踏んで少しずつ足を引っ張り正しい姿勢に戻していきます。またギブスを装着することもあります。
④手術療法
2歳以上でも股関節脱臼が改善されていない場合、歩くことも支障が出るようになります。手術を行い、股関節が自然な位置にならない原因を取り除きます。多くは股関節脱臼が治りますが、手術をしても今後骨に影響が出ることもあるので、整形外科に定期的に通院しなから経過観察をしなければなりません。
大人になってからの影響とは?
股関節脱臼は男の子よりも女の子の方が圧倒的に発症率が高いと言われています。そのハッキリとした理由は解明されていませんが、ホルモンの関係や女の子は将来妊娠するために股関節が柔らかい傾向にあるからとも考えられています。
女の子が赤ちゃんの時に股関節脱臼を治療し、大人になり妊娠出産を経て負担がかかった股関節が痛み出すということもありえます。
また太ももの骨の付け根にある傘のような骨が短い傾向にあり、全体重を傘の端だけで受けるので通常の人より股関節の軟骨がすり減りやすくなります。よって変形性股関節症になりやすく、若くても痛みを伴うことがあるかもしれません。