インフルエンザに座薬は危険?子供の熱を下げるだけで使ってはいけない理由
インフルエンザに感染し、病院で診察を受けると、座薬を処方されることがあります。座薬は必ずしも使う薬ではありません。一体、どのような時に使えばいいのか、また使ってはいけない座薬もご紹介します。
【1-1】インフルエンザに処方される座薬
インフルエンザにかかると、高熱が出るおそれがあります。40℃近い熱が出ることもあり、解熱剤として座薬が処方されます。そもそも、インフルエンザでなぜ高熱が出るのか、なぜ座薬なのか、ご説明します。
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インフルエンザで高熱が出る仕組み
インフルエンザウィルスが、体に入ってくると、それを撃退しようとして、免疫活性食細胞がウィルスを包み込もうとします。その時にサイトカインという物質が作られます。これが途中、メディエイタと呼ばれる情報を伝える物質・プロスタグランジンを作り、脳に伝わります。すると、皮膚の血管が収縮したり、汗腺を閉じて、体の温度を放出させないようにします。また、筋肉が震えて熱が上がり始めます。
インフルエンザで高熱が出る理由
インフルエンザウィルスは37度前後が一番活発になり、増殖していきます。体はそれよりも体温をあげて、それに対抗しようとします。インフルエンザウィルスが死滅するには100度ほどの温度が必要と言われています。熱が上がることで体の中で死滅するわけではありません。
熱が上がることで、白血球が活発に動き、ウィルスをさかんに食べるようになります。そのため、発熱したからといって、むやみに熱を下げることは、よくありません。
座薬が処方される理由
では、一体なぜ座薬が出されるとか、というと、水分も摂れない、眠れない、という状態が続くと、体が疲れてしまうため、一時的に熱を下げて、体力を回復させる目的があるからです。子どもの場合、飲み薬が上手く飲めないこともあります。
そのため、座薬を使います。座薬は腸にすぐ届き、腸から吸収されていくので、即効性があります。体力があるようであれば、使う必要はありません。座薬を使う場合は、先にトイレを済ませておきましょう。
どんな座薬がインフルエンザに効く?
座薬にもいろいろな種類があります。アセトアミノフェン系の解熱剤、イブプロフェン系の解熱剤が使用可能です。アセトアミノフェン系の解熱剤には、カロナール、アルピニー座薬、アンヒバ座薬があります。イブプロフェン系には、ユニプロン座薬、ブルフェンがあります。
カロナール・アルピニー座薬・アンヒバ座薬
アセトアミノフェン系は、一番安全と言われており、いずれも、子どもが熱を出したときによく処方される解熱剤です。一回分が体重×10㎎~15㎎程度が目安です。50㎎、100㎎、200㎎の三種類があり、体重に合わせて使い分けられています。
カロナールの場合は400㎎の座薬もあります。どれも同じ成分で、製薬会社が違うことで名称も異なります。座薬を使わなかった場合は、1年~2年は使えるので、保存しておくと、いざという時に心強いです。
アルピニーは保存は直射日光を避け、30度以下のところにします。カロナール、アンヒバは、冷蔵庫などの冷所で保管しておきましょう。
ユニプロン座薬・ブルフェン
イププロフェン系の座薬も、子どもによく処方されます。どういう薬がよく効くのか、薬との相性もあります。
インフルエンザに使ってはいけない座薬
ジクロフェナクナトリウム、アスピリンの配合の薬は、特に子供には使わないようにします。
ボルタレン座薬
ボルタレンには、ジクロフェナクナトリウムという成分が配合されています。ボルタレンやアスピリンが配合された座薬を使うと、インフルエンザ脳炎・脳症になる可能性があります。インフルエンザ脳炎・脳症とは、1歳から5歳の子どもにみられ、けいれんや意識障害、異常行動など神経にかかわる症状が見られます。血管がつまったり臓器が動きを停止したりして、死につながる可能性があります。
インフルエンザ脳炎は、インフルエンザウィルスが脳内に入り、炎症を起こします。インフルエンザ脳症は、過剰な免疫反応を示した場合を指します。
アスピリン
アスピリン配合の座薬は、インフルエンザ脳炎・脳症を引き起こす可能性があるだけでなく、ライ症候群にかかる可能性を高めます。ライ症候群とは、インフルエンザや水痘などに続発することがあり、脳神経や肝機能にかかわります。
嘔吐、けいれん、意識障害などを起こすことがあります。インフルエンザで家に残っていた座薬を使う時は、アセトアミノフェン系かイブプロフェン系のものにしましょう。