スリングで赤ちゃんも気持ちよく横抱きする使い方と股関節を守るコツ
スリングは、新生児から赤ちゃんを横抱きするのに使えるイメージがあります。しかし、2007年から日本ベビースリングメーカーでは、首が座る前の赤ちゃんのスリングでの横抱きを禁止しています。
禁止される理由を理解し、スリングを正しく使い、危険な事態が起きないようにしましょう。
この記事の見出し
新生児のスリングの使用で気を付けるべきこと
新生児の抱き方では、股関節、背中や首に特別な配慮が必要です。詳しく見ていきます。
股関節
新生児の股関節は広がっていて、膝が外に広がっている状態が自然な姿勢です。スリングに入れる時、布で足をすぼめてしまい、赤ちゃんにとっては窮屈な姿勢になってしまいます。膝を曲げて閉じてしまうか、膝を伸ばす姿勢は、股関節脱臼を引き起こしてしまいます。
日本人はこの股関節脱臼を起こしやすいようです。特に女の子に多く起きます。足を延ばしても、特に痛みを感じないため、赤ちゃんもぐずることがなく、気が付かないまま抱っこしてしまいがちでした。過去のスリングは、そのような姿勢になることが多かったということが背景にあります。
スリングで赤ちゃんの背中が、お母さんのお腹の上まで来るように、胸の辺りで抱っこするようにすると、赤ちゃんの股は広がります。
しかし、以前は下の方で横抱きにしていまうことが多かったです。お腹よりも上で抱っこするというスリングの使用方法が定着していなかったために、新生児へのスリングの使用を禁止する事態にまでなりました。
股関節を開くためには、横抱きでもこのように上で抱くか、布おむつにすると、股が開きやすいので、布おむつを使用するのも効果的です。
首や背中
お母さんのお腹の方で抱っこすると、赤ちゃんの首や背中も丸まってしまいがちです。軽い猫背程度で、背中から腰は出来るだけまっすぐするように、気を配りましょう。そのためには、時々赤ちゃんの様子を確認する必要があります。
赤ちゃんの姿勢が丸まりすぎていないか、呼吸はちゃんとできているか、股関節は開いているか、膝を外に曲げられているかなど、確認しながら、スリングで横抱きするようにします。
新生児の縦抱き
以前は新生児を縦抱きするのは、首が座っていないから危険だといわれていましたが、今はその根拠はない、という意見もあります。首が座っていない赤ちゃんを縦抱きするなら、どのような注意が必要か、述べていきます。
縦抱きする時間は短めに
新生児を縦抱きする場合は、必ず頭を何かで支えておく必要があります。お母さんが手で支えてあげるのが、一番安心で確実ではないでしょうか。あまり長い時間お母さんも手で支えていることは出来ません。縦抱きをする場合は、何時間もということは止めておくほうがよいでしょう。
MW型のキープ
新生児は、両手を握って顔の辺りにあげています。腕がWの形のようです。また、足は股関節を開いた状態で膝を曲げています。Mの形になります。このような新生児の姿勢をMW型と言います。この形を、抱っこするときにもとっていられるようにすることが大切です。
コアラ抱き
新生児をスリングを使って縦に抱っこする場合、コアラ抱きという抱き方が基本です。赤ちゃんの手はWに、足はMに開いた状態で、お母さんの胸の辺りに来るように高く抱きます。
赤ちゃんは布の袋のところで座った状態になります。首は手で支えておき、お母さんの胸にもたれかけさせるようにします。布で頭がすっぽり入るようにすると支えになりますが、必ず布が緩まないように、しっかりと布を引っ張ってあげてください。
スリングでの縦抱っこの仕方
実際に、新生児をスリングで縦抱っこする方法を見ていきます。
リングあり
リングのあるスリングを使う場合です。
- リングがお母さんの鎖骨のすぐ下あたりに来るように肩にかける。
- 布の端をじゃばらに折ってリングに入れる。リングに入れてから一度開く。リングに溜まっている布は、内側にあまり皺がこないようにしておく。
- ポーチの部分をしっかり開く。
- 赤ちゃんの頭をお母さんの肩にもたせ掛けるようにしてポーチに入れる。
- 頭の部分が覆われるように布を上へ伸ばす。また、首の部分が緩まないように、布の上の方しっかりと引っ張りよせる。
- 赤ちゃんの背中に来る布が皺が寄らないようにする。
こうすることで、赤ちゃんが高い位置で抱っこされ、股関節が開きます。下がってしまい袋に入り込んで、丸まりすぎることがありません。
リングなし
リングなしの場合は、バナナ抱きと呼ばれる抱き方になります。
- お母さんの胸の辺りに赤ちゃんが来るスリングかどうか、確認します。スリングを肩にかけ、ポーチの部分を開いておきます。
- スリングをかけていないほうの肩に赤ちゃんを持たれかけさせ、お尻からポーチに入れていきます。赤ちゃんの頭が、スリングが肩にかかっているほうに来るように寝かせます。
- 股関節が開いているか確認します。布で圧迫して閉じていないか、時々見て確認しましょう。