インフルエンザは放置するな!自然治癒すると思ったら死亡するリスクも
毎年、冬の乾燥するシーズンに入ると流行するインフルエンザですが、死亡例もあります。インフルエンザを、風邪の重症化したもの、ととらえず、急変する危険な病気と考えておいたほうがよいです。
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インフルエンザが危険な理由
インフルエンザが恐ろしいのは、ウィルスの繁殖力が強力なところです。一個のウィルスが体に入って増殖した場合、8時間後には100個に、24時間後には100万個まで増えてしまいます。100万個まで増えたときに、自覚症状が現れます。自覚症状が現れるまでにも、ウィルスを周囲にまき散らしており、感染者を増やしてしまいます。
また、体内で急激にウィルスが増えていくので、熱も突然高くなります。咳や鼻水など呼吸器系に症状が現れるのも、遅れてしまうほどの速さで、体力がない老人や子供、呼吸器・循環器などの病気、糖尿病や免疫疾患を抱えている人などは、危険な状態に陥りやすくなります。
インフルエンザが引き起こす病気
インフルエンザにかかると、急速に体力を奪われてしまい、老人や子供、呼吸器系や循環器系などに疾患を抱えている人は、インフルエンザ脳症や肺炎にかかりやすくなってしまいます。死につながる病気でもあり、大変危険です。
インフルエンザ脳症
1歳から5歳の子どもに多く見られる症例で、インフルエンザにかかってから、意識がなくなったり、けいれんを起こしたりします。インフルエンザにかかった患者の体でウィルスが増殖し、過剰な免疫反応を起こすことが原因とみられています。インフルエンザ脳症にかかった1割~3割の患者が死亡しています。
肺炎の合併症
インフルエンザに感染して死亡した人の多くが、合併症で肺炎を起こしています。肺炎は、65歳以上の高齢者がかかりやすく、次いで子どもも感染しやすいです。インフルエンザに感染すると、鼻や喉など呼吸器の粘膜が炎症を起こします。いつもならここで食い止めていた細菌を、防御できなくなってしまいます。肺炎球菌が入り込んで、今度は肺で細菌が増殖し始めます。
肺炎球菌は殻が大変固く、白血球がなかなか退治することが出来ない菌です。インフルエンザで体力を消耗してしまった体には、大変な負担です。
予防接種
インフルエンザも肺炎も、予防接種を打つことが出来ます。インフルエンザの場合は、予防接種を打っても、違う型のウィルスが流行するとかかってしまうことがあり、確実に予防出来るとは言えません。効果があるのは半分ほどの確率と言われています。乳幼児は6ヶ月から接種出来る病院と、1歳以上からという病院があります。
また、3歳くらいまでの幼児には効果が薄いという意見もあります。一方、肺炎球菌ワクチンは、80種類ほどの型がある肺炎球菌に対し、23種の免疫をつけられるように作られています。これで、8割の肺炎に対応できます。肺炎球菌の予防接種は、子どもや高齢者は受けておくことをおすすめします。
インフルエンザを自然治癒する危険性
インフルエンザは自然治癒で治る人もいる病気です。ただ、インフルエンザ脳症や肺炎にかかるといった危険性もあるので、高齢者や子どもは診察を受けて抗インフルエンザ薬も用いた治療を行った方がよいでしょう。
インフルエンザで病院に行く?
インフルエンザのかかり始めに、寒気がする、という症状があります。このとき、ヒトの体では体温を上げようとしています。体温を上げることで、白血球の活動をより活発なものにし、ウィルスから体を守ろうとしています。そのため、このときには無理に体温を下げるのでなく、体温を上げるようにします。これは、自宅でも出来ることです。
免疫力が体にあれば、ウィルスに打ち勝つことが出来ます。体を温める、部屋を加湿し、換気を一時間に一度、定期的に行う、水分補給をする、しっかりと寝る、ということを行えば、体力があれば治すことは可能です。発熱の期間や、ピークを過ぎた後の微熱の期間が、長くなる可能性も高いです。
病院に行くなら
病気を抱えている場合や、高齢者や子供は、病院に行くことをおすすめします。病院に行く場合は、タイミングが大切です。まず、インフルエンザにかかっているのかどうか、検査があります。インフルエンザの検査は、感染から24時間~48時間の間に行うと、最も判定しやすいので、早く病院に行ってしまうと、検査が出来ないということにもなります。
また、インフルエンザウィルスは48時間~72時間後の間に最も増えます。抗インフルエンザの薬は、ウィルスの増殖を抑える働きがあるので、このピークを迎える前に服用しなければ、効果があまり得られません。病院へ行くなら、発症から24時間後~48時間以内に行くとよいです。病院に行くタイミングを逃さないようにしましょう。
ただ、48時間を過ぎたからといっても、ぐったりしていたり、熱が下がらないようであれば、病院に行き、様子を見てもらいましょう。発汗や嘔吐や下痢で、脱水症状を起こしやすい状態にあります。また、体力が落ちているので、合併症にかかる恐れもあります。完治するまでは、よく様子を見るようにしましょう。