エンテロウイルスを防げ!下痢や発疹の症状を出さないための予防策
夏本番を迎えましたが、夏風邪にかかってしまった、という人もいるでしょう。エンテロウィルスに感染し、発症すると、夏風邪にかかることがあります。エンテロウィルスについて、症状や引きこされる病気、感染経路、予防方法、大人と子供との違い、治療法などを見ていきます。
この記事の見出し
エンテロウィルスとは? 症状や病気について
エンテロウィルスとは、ポリオウィルス、コクサッキーウィルス、エコーウィルスなどの総称で、腸管で増殖します。経口感染したら初期は咽頭で増殖し、腸で大量に増殖したウィルスが大便中に排出され、それが感染源となります。
エンテロウィルスに感染し、発症した場合、風邪、急性胃腸炎、手足口病、ヘルパンギーナなどの病気にかかる可能性があります。また、ここ数年で、麻痺や呼吸困難を引き起こすウィルスも感染しています。それぞれの病気と症状を見ていきます。
かぜ
かぜの場合は、通常、1~2日で熱が収まる場合が多いですが、高熱が5~7日間ほど続く場合があります。嘔吐をすることが多く、また扁桃腺も腫れることが多いです。
胃腸炎
胃腸炎の場合は、比較的軽度で、嘔吐と下痢が見られます。腹痛がある場合、発熱を伴うこともあります。
手足口病
手足口病は、乳幼児がかかりやすく、口の中や手のひらや足裏、足の甲などに水疱が出来る病気です。潜伏期間が2~5日、発熱は必ずしもするものではなく、38℃程度で収まります。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナも乳幼児がかかります。喉の奥や口の中の上の柔らかい部分に水疱やアフタという粘膜潰瘍が出来、40度ほどの高熱が出ます。直径2ミリ以上の大きさなので、目で確認出来ます。大きな水泡が出来るので、のどの痛みがあることが多いです。熱は2~4日ほどで下がることが多いです。
エンテロウィルスD68
また、エンテロウィルスD68はアメリカでは2014年に多数発症し、日本でも患者が出ました。
これも子どもがかかることが多いウィルスです。咳、発熱など夏風邪と初期症状は似ていますが、呼吸困難や麻痺も引き起こします。飛沫感染、接触感染によってうつり、潜伏期間は3~7日です。
エンテロウィルス71型
手足口病は上記の通り、発熱があったり水泡が出来ますが、数日で治ります。
しかし、エンテロウィルス71型に感染した場合、髄膜炎や脳炎を起こすことがあります。高熱が続く、嘔吐するなどの症状がある場合は、エンテロウィルス71型に感染している恐れもあるので、注意が必要です。
予防方法
エンテロウィルスD68 、71型など、近年、命にかかわるウィルスによる発症例も見受けられます。感染経路、予防する方法を見ていきます。
感染経路
エンテロウィルスは、飛沫感染、経口感染、接触感染によってうつります。
飛沫感染は咳やくしゃみによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、粘膜に触れて感染します。経口感染は、病原体の入った飲食物を摂取することで、感染します。接触感染は、患者や保菌者、病原体の付着したものに触れることで、感染することです。
予防法と治療
ポリオはワクチンがあり、予防接種を打つことで感染し発症することを防ぐことが出来ます。
しかし、他の病気に対してはワクチンがなく、ウィルスが腸から排出されるのを待つしかありません。治療法として明確なものはなく、予防で防ぐことが肝心です。飛沫感染を防ぐためには、マスクが必要です。また、うがいも必要です。接触感染を防ぐためには、帰宅後の手洗いが必要です。
ノロウィルスが流行する時期には、吐いた箇所に塩素系の消毒をしますが、同じように塩素での消毒が有効です。次亜塩素酸水であれば、殺菌力はありますが、塩素系の消毒液とは違って、口に入れても安全なので、使いやすいです。次亜塩素酸水は、食塩水を電気分解することで作られます。これで、おもちゃやノブなど、気になるものを拭くことで感染を防ぐことが出来ます。
ウィルスは、感染しても発症しないで済むことも多いです。暑い夏は、腸が弱りやすい季節でもあります。冷たいものを摂る、暑くて寝不足になりがち、ということが腸の働きを弱めてしまい、感染して発症することにつながります。
体力を保持し続けることで、感染しても発症を防げます。冷たいものを摂りすぎない、睡眠をきちんととるなど、日ごろからの生活習慣で発症を防ぎます。
子どもと大人との違い
子どもが発症しやすいエンテロウィルスですが、そばにいる大人にも感染することはあります。大人は子どものころに発症し、すでに免疫を持っている場合が多く、かかりにくいですが、ウィルスの型が違えば感染し、発症する可能性もあります。
子どもはのどの痛みなどがとれ、食事がとれるようになると治りが早いのですが、大人がかかってしまうと、子どもよりも高熱が出てしまう可能性があります。手足口病も、大人がかかって発熱すると40℃近くまで熱が出ることがあります。また、指先への発疹が出て、1~2か月後に爪がはがれてしまうこともあります。
大人は夏バテなどで体力が落ちているとき、免疫力も低下し、かかりやすくなります。
妊婦は、妊婦自体は回復しても、胎児異常、流産の可能性もまれにあります。妊婦は特に、体力、免疫力を高める、手洗いやうがいなど予防を心掛けましょう。