赤ちゃんや胎児が水頭症になる原因と手術が必要な条件とは?
「水頭症」と呼ばれる病気を知っていますか?日本で水頭症の病気を持って生まれる赤ちゃんの割合は1000人に1人と言われ、赤ちゃんや胎児がなる病気としては比較的少なくないとされています。この病気はいかに早期発見、早期治療をするかがカギで、その後の後遺症の可能性が変わります。早く気づくためにも水頭症の知識を身につけておきましょう。
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赤ちゃんや胎児がなる水頭症とは?
人間の頭の中には脳を外からの刺激から守るための髄液が存在します。いわば髄液は脳のクッションとしての役割を果たし、生きるためにはなくてはならないものです。
脳質と呼ばれる器官で作られる髄液は頭の中を循環し、その後静脈へと吸収されていきます。正常な状態では一定量を保っているのですが、何らかの理由で髄液がスムーズに循環されないと脳内で余分な髄液が溜まっていきます。
この病状を水頭症と言うのです。水頭症は赤ちゃんから大人までなる可能性があり、大人の場合は「正常圧水頭症」という病名になります。
赤ちゃんや胎児が水頭症になる原因とは?
赤ちゃんが水頭症となる過程には生まれ持った先天性の異常と生まれてから発症する後天性の異常に分けられます。
先天性の水頭症
ママのお腹の中にいる胎児が、脳や血管、神経や脊髄が作られていく過程で障害が生じて起こります。胎児水頭症の原因の殆どが発達過程の障害によるものです。
後天性の水頭症
脳内で出血や感染が起こったことが原因でなる水頭症です。脳出血や髄膜炎、脳腫瘍などの直接的な障害になる脳疾患が髄液の循環を妨げてしまうのです。また妊娠中の人が風疹やトキソプラズマに感染することも原因の1つとされています。
水頭症になるとどんな症状が見られるの?
胎児水頭症の場合、妊娠22週以降のエコー検査で脳内の「側脳室三角部」という部分が通常より大きく見えることで診断されます。その時点での治療はできませんが、生まれてからすぐに治療を始めることができます。
また生まれてから水頭症を発症した場合も、なるべく早い治療開始が必要となります。ではどのような症状が見られるのでしょうか?
頭囲が異常に大きくなる
赤ちゃんの頭蓋骨は発達途中なために、柔らかく動きやすい状態です。脳内に髄液が溜まることで、頭蓋骨が広がり頭が大きくなったような形状になります。乳児健診でも頭囲測定をするので、そこで異常が発見されることもあります。
頭の血管が目立つようになる
水頭症は髄液が増えるので、脳内に負荷がかかります。そのため血管が圧迫されて、静脈が太く盛り上がり目立つようになります。
落陽現象が見られる
黒目が下まぶたに入り込んで見えづらく、白目が目立つ「落陽現象」という症状は、水頭症の特徴と言われています。
首座りが極端に遅い
水頭症であると頭が重く首がなかなか座らない傾向にあります。遅くとも5ヶ月までに首が座る様子が見られない場合は要注意です。
感情の起伏が激しい
水頭症は髄液が脳内を圧迫するために、頭痛を感じることがあります。ボーッとしていたかと思えば、急に理由もなく不機嫌になる場合は、何かしらの原因があるかもしれません。
水頭症で手術は必要なの?
水頭症が疑われる症状が見られたら、詳しい検査で髄液の状態を見て診断を確定します。
水頭症である場合一般的に「シャント手術」という外科的治療を行います。脳内に溜まった髄液をお腹の方に流して吸収させるために、脳からお腹につなぐシャントと呼ばれる管を通す手術です。管はシリコンで出来ているので、体内に永久的に入っていても問題はありません。
ただし成長と共にシャントの長さが足りなくなるので、定期的に手術をしなければなりません。また水頭症の原因となった脳疾患がある場合は、その治療をすることで水頭症の症状が改善することもあります。