原因はがん?腹水が溜まる場合の症状改善と治療法
「腹水」と聞くと末期ガンのイメージが強いですが、他にも肝硬変が原因の腹水であったりガン以外にも重大な病気のサインである事もあります。腹水とは?なぜ溜まる?溜まったらどうなるの?などの疑問をまとめました。
腹水とは?原因は?
腹水とは、人間の肉と臓器の間にある腹腔と呼ばれる隙間に溜まる水で、例えば腸の動きを円滑にする為など、元々人間の体には必要な役割で100ml以下の数値で存在しているものなのです。それが100ml以上に増えるといわゆる腹水が「溜まる」と言われる状態になります。
では、なぜ「溜まる」のか?
それは、正常な体の100ml以下の腹水はその40%から80%は常に新しい腹水と入れ替わっています。
血管などから新しい腹水が腹腔へ入り、古くなった腹水は綺麗になる為にまた血管に吸収されて腎臓などに送られています。体のどこかに異常が起き、このシステムが崩れると腹水の出入りにも異常が起きて必要以上に溜まってしまうようになります。それが更に体に悪影響を与えるのです。
大きく分けて二種類、漏出性と滲出性に分けられます。
漏出性とは血管から水分が漏れ出る事をいい、肝硬変や心不全などが原因の場合もあります。滲出性とはその病原から水分が滲み出る事をいい、ガンや腹膜炎などがあります。
原因は様々で、急性の短期的な病気でも慢性の長期的な病気でもあります。中でも、重症化した肝硬変が最も多く次にガン、心不全や腹膜炎はまれだと言われています。内臓が炎症を起こして血管が圧迫されたりして水が漏れ出す、どんな病気でも腹水が出る可能性はある、という事です。
腹水の症状や余命について
異常を起こした臓器の働きがいよいよ悪くなり、機能しなくなってくると「余命」といい言葉も主治医から出る事があります。そうなる頃には、黄疸が出たり脳の機能が壊れてきたりする場合もあります。
腹水が溜まると言う事はそれだけ体内のどこかしらに異常が起きている、と言う事なので余命についてははっきり言う事はできませんが、肝硬変などもガンを併発しているかいないかでも大きな差は出るので、主治医としっかり話をする事も必要となります。
腹水が溜まった場合の主な症状は、お腹が膨らみ膨満感が出てきます。
見た目からも膨らむのでわかりますが、体の中では、溜まった腹水が胃を圧迫して食欲がなくなったり吐き気がしたり、肺を圧迫して呼吸困難や激しい息切れを起こしたりします。それを放置して更に悪化させると血行不良や冷え、むくみや倦怠感などが消えなくなります。
腹水の肝硬変やガンとの関係
ガンは腹水と結びつくイメージですが、肝硬変はどうでしょうか?あまりイメージがなさそうですが実際の症例としてはとても多いのです。
肝硬変とは、多量のアルコール摂取やウィルス感染ににより肝臓の細胞の一部が壊れてその繰り返しにより肝臓の傷んだ部分が硬くなってしまうものです。
イメージとしては、手足の切り傷などを想像してください。
新しい皮膚が出来るまで、傷跡は硬くなったり膨らんだりしてきます。正常であればそのままだんだん吸収されて平らに元に戻っていきますが、上記のように繰り返し痛め付けているとその内傷跡は小さくはなっても消える事はなくなっていきます。
そうして肝臓の機能をしない細胞が増えていってそれが邪魔して正常な細胞に栄養が行かなくなったりして肝臓全体の機能がどんどん低下して行きます。
少し肝臓が傷んでいても、全体の働きとして最低限の動きができていればいいのですが、ほとんど機能しなくなってきてそれによって他の臓器や場所に影響が出るようになる頃腹水も溜まり出してきます。
ガンは、ガン細胞が内臓やリンパに増殖して炎症を起こします。内臓の炎症部分から水が漏れ出て溜まることになります。また、ガンになると肝臓の働きも悪くなるので、血管内の水分調節をするアルブミンが肝臓で作られなくなり、更に溜まりやすくなるのです。
腹水の治療法
腹水が見られるのは症状が進んでいる場合が多いので、必ず治療には医師の指示が重要になります。薬での治療もありすが、薬自体も肝臓に負担となるので余り使いたくありませんが、利尿効果のある薬で体内に余分に溜まった水を出そうとします。
しかし、腹水を減らしたとしても肝硬変じたい治らなければまた腹水は溜まります。肝硬変の原因を治療しなければ腹水はなおりません。
肝硬変の治療と同時に、水分の摂取を控えたり、塩分の制限をしたり水分を体外に出す工夫をしていきます。これくらいになると入院となりますので医師が制限を決めてくれます。だいたい全ての水分を合わせて1日1000mlとされています。
それでダメなら外科的な治療として、針を刺して腹水を抜く方法があります。
ただ、急に大量の水を抜くと血管に異常が起きて体内で出血や、必要であるアルブミンやタンパク質も抜いてしまうので、いったん抜いた物を必要な物だけ抽出してまた体内に戻すなどをする場合もあります。
その他、針を刺すので感染症の危険もあります。体への負担から余命が短くなる事もありますので、本人の意向や主治医に相談して決めましょう。