発熱や目やにの原因は?結膜炎の症状や、目薬以上の治療と消毒の仕方
結膜炎は季節を問わない病気で、一年中感染や発症の危険はあります。目やにや充血で普段より煩わしい経験はよくあると思いますが、自然治癒が可能な軽いものもあれば、学校や会社を休まなくてはいけないもの、重症化するものまで様々な種類があります。迅速な処置で重症化を防げる事もあります。そんな結膜炎をまとめました。
この記事の見出し
結膜炎の種類・原因・症状
白目を覆ってる半透明な膜を結膜と言い、その膜が赤く充血して炎症を起こすのが結膜炎です。結膜炎について原因や症状など知識があれば判断も処置も早くでき、悪化も防げます。
また、コンタクトを使用している方は、結膜炎により急に汚れたり曇ったりずれ上がったりする事があります。人によっては自覚症状がなく、何かの検査の時に偶然わかる事もあります。そんな数種類の結膜炎について原因や症状をまとめます。
ウィルス性結膜炎
感染によって起こる結膜炎にウィルス性結膜炎があります。感染力が強くふとした事で人にうつったり、自分自身のもう片方の目にうつったりするので注意が必要です。ウィルス性結膜炎の数種類を紹介します。
流行性結角膜炎
はやり目と呼ばれる事もあり、アデノウィルスによるとても強い感染力のある結膜炎です。
症状は、白目の充血や多量の目やに、角膜部分(黒目部分)に点状の小さな炎症や濁りが起こります。名前の通り、結膜だけでなく角膜にも炎症が起こり白目(結膜)の炎症から始まり黒目(角膜)の炎症は数日後に現れます。耳の前のリンパ節が腫れて痛む場合もあります。
アデノウィルスは数種類ありますが、主にアデノ8型により起こり潜伏期間は約1週間程度、発症から10日程で症状は治まります。
しかし、黒目に起きた炎症で濁りが視力を低下させたり重症化するとドライアイになったりするので注意が必要です。ウィルスのついたタオルの共用や、涙や目やにを拭いたティッシュなどからもう片方の目にも感染してしまう事もあります。
咽頭結膜炎
プール熱と呼ばれる事もあり、アデノウィルス3型や7型が原因となり潜伏期間は5~7日程、発症から10日程で症状は治まります。
プール熱という名前からも、プールで子供が感染する事も多く、白目の充血や目やにの他に発熱や喉の痛み、いわゆる風邪の症状も発症します。こちらもタオルの共用や使用したティッシュやハンカチからの感染もあるので注意が必要です。
急性出血性結膜炎
アポロ病とも呼ばれ、エンテロウィルスやコクサッキーウィルスによるもので感染力が強く流行性結角膜炎と似ています。潜伏期間は非常に短く、感染後1日で発症します。
細菌性結膜炎
感染によって起こる結膜炎に、細菌性結膜炎もあります。こちらも感染力が強くインフルエンザ菌や肺炎球菌、クラミジア菌、黄色ブドウ球菌などが原因となります。症状は目の痛み、目やに、違和感、かゆみ、腫れなどがあり、目やにはドロッとした粘着性で黄緑色の膿が出る事もあります。
抗生剤の点眼治療で約1週間で回復します。点眼は原因菌により変わるので市販のものを自己判断で使用するより医師の処方をおすすめします。
黄色ブドウ球菌については、喉や鼻の粘膜や肌に存在している菌で、健康な時は抵抗力により感染しませんが、弱っているときや子供や高齢者は感染しやすくなるので注意が必要です。
乳幼児や小学生はインフルエンザ菌の原因が多く、高齢者は黄色ブドウ球菌がおおくなっています。
アレルギー性結膜炎
感染はせず、個人のアレルギー疾患から起こる結膜炎です。
原因はダニ・カンジタ・アスペルギルス・イネ科のカモガヤやハイガヤ・オオアワガエリなどがあります。スギやヒノキ、ブタクサなど花粉症によって目のかゆみが生じ掻いてしまったり炎症が起きて結膜炎になる事もあります。
アレルギー性結膜炎はアレルゲン(アレルギーの原因物質)の付着で発症するので、治療はアレルゲンの特定や体質改善、症状による対処療法になります。普段からのハウスダスト対策やアレルゲンを室内に持ち込まない事も大切になります。
外傷性結膜炎
目に怪我をしたりゴミが入ったり、薬品の事故など外部からの傷によって起こる結膜炎です。
薬品などが目に入った場合はとにかくすぐに洗い流し、受診しましょう。白目が赤くなったから確実に結膜炎、と言う訳ではありませんが、結膜炎の可能性はありますので適切な処置をする事をおすすめします。
治療や完治までの期間、年齢による違いは?
治療や完治までの期間
ウィルス性結膜炎は、感染力がとても強く治療は難しいのが現実です。
ウィルスを直接死滅させる薬は無く、ウィルス性結膜炎によって起きたかゆみや痛みで触ったり掻いたりした場合、細菌性結膜炎を併発しない為の合併症を防ぐ治療や痒みがあればそれを抑える点眼となり、症状自体は自然治癒を待つようになります。発症から完治は1~3週間程です。
細菌性結膜炎は、基本的には病院での治療となります。自然治癒も可能ではありますが、病院で抗生物質を処方してもらった方が完治は遥かに早くなります。薬の投与から3~5日程で症状は楽になります。
アレルギー結膜炎は感染しないので、アレルゲンの除去を考えた治療や痒みに対して坑ヒスタミン剤の処方などになります。薬で症状が楽になっても、アレルゲンが付着するとまた発症してしまうので、根本的なアレルゲンの除去対策が必要になります。
年齢による違い
流行性結角膜炎、はやり目は大人も子供も症状はほとんど同じです。
咽頭結膜炎、プール熱は患者の6割が5歳以下で結膜炎自体は子供より大人の方が症状は軽いです。その反面喉が腫れた痛みは大人の方が酷く、39℃~40℃の高熱が3~5日続く事もあります。大人より免疫力の少ない子供の方が重症化の危険は多いと言われます。
感染や、自然治癒や重症化、有効な消毒について
結膜炎の感染
はやり目と呼ばれる流行性結角膜炎とプール熱と呼ばれる咽頭結膜炎は、ウィルスによる感染なので粘膜などからウィルスが他人に感染します。
感染者とのタオルの共用、感染した涙や目やにを拭いたティッシュやハンカチ、それらが付着した枕からの感染もあります。感染力がとても強く、感染した片方の目からもう片方の目に感染する事もあります。
自然治癒や重症化
軽症であれば自然治癒も可能です。とにかく触らない、悪化させない事です。更に軽症であれば市販の目薬でも対応は可能です。しかし、菌により薬が変わったり受診して原因がはっきりすれば、それに見合った薬を処方してもらえるので完治は早くなります。
流行性結角膜炎は、重症化すると痛みで目が開けられなくなったり角膜の炎症で濁りが発症し視力低下の原因にもなります。抵抗力の弱い子供は重症化すると弱視や失明の危険もあります。
重症化させない為には早目の受診をおすすめします。
有効な消毒方法
結膜炎の感染はウィルスが付着した物への接触感染が多いので感染を拡大させない為に有効な消毒方法があります。まずはタオルやハンカチを共用しない事が大前提、目やにや涙はティッシュで拭き取り必ず捨てて手を洗う事です。
タオルや洋服などは56℃以上で5分間の熱処理をします。熱処理ができないドアノブやオモチャ類は家庭用塩素系消毒薬や市販の70%消毒薬で拭き取るなどして消毒をします。なるべく感染中はこまめな消毒を心掛けてください。
登園や出勤について
結膜炎の中でも感染力の強いウィルス性結膜炎は登園・登校禁止と学校保険安全法で定められています。
流行性結角膜炎、はやり目は発症から2~3週間治るまでかかりますが、充血がなくなって目やにが出なくなるまで禁止となります。眼科医の許可が必要となります。
咽頭結膜炎、プール熱は治るまで2週間程で発熱や喉の痛み、結膜の症状がなくなって2日後まで出席停止となります。
急性出血性結膜炎、アポロ熱は治るまで10日程かかります。主治医の感染の恐れがなくなったとの判断が必要となります。
それぞれ眼科医の許可が必要となります。大人も感染力が強い病気なので症状がなくなるまでは出勤も控えてください。