子宮内膜症とピルとの関係とは?原因を調べるチェック検査と治療法
子宮内膜症とは何か、原因と症状について述べます。また、ピルとの関係、子宮内膜症の検査方法や治療方法について述べます。
この記事の見出し
子宮内膜症について
子宮内膜症は痛いだけでなく、不妊の原因の3割にもなっています。放置しておくと、状態が進行して痛みが強くなってしまいます。疑いがある場合は、早めに診察を受けましょう。
子宮内膜症とは
子宮内膜症とは、子宮の内膜が、子宮以外の場所(卵巣・ダグラス窩、膣、直腸・外陰部・膀胱・へそなど)に出来ることによって起きる病気です。子宮の内膜は、一定期間を過ぎると剥がれ落ち、月経となって出血します。
しかし、子宮外に出来た内膜も、同じように剥離しますが、出血しようにも出口がなく、体内に溜まっていまい、チョコレート状になって臓器が癒着してしまいます。年齢が上がるにつれ発症する人が増え、40代がピークとなっています。月経の周期が短く、月経の期間が長い人に多いと言われています。
子宮内膜症の原因
現在、まだ子宮内膜症の原因ははっきりと明確に分かっているわけではありません。昭和40年代に比べ、患者数は3倍近くになっています。これは、かつては女性が若い年齢で出産しており、また出産回数も多かったので、妊娠や授乳によって月経の回数が抑えられていたことと関係があると考えられています。
子宮の内膜が剥がれて出血するのは、エストロゲンという女性ホルモンの働きによります。妊娠や授乳中は、エストロゲンは分泌しません。この期間があることで、自然に子宮内膜症が治ったり、予防出来たりしていました。
しかし、現在は初潮を早く迎え、出産年齢が上がり、出産回数は減ったうえに、閉経の年齢は遅くなっています。つまり、月経の期間が長くなり、エストロゲンが分泌し続けているのです。そのために、子宮内膜症にかかりやすくなっていると言えるのです。
子宮内膜症の症状
子宮内膜症は、時間の経過とともに進んでいきます。4つの時期に分けて考えられています。
- 第一期 :子宮外に点在している状態で、小さな血の塊が出来ます。自覚症状はありません。
- 第二期 :点在していたものが広がっていきます。月経の出血が増えたり、月経痛が強くなってきます。
- 第三期 :周囲の卵巣や卵管などが癒着していきます。チョコレートのう腫が出来る時期です。性交痛も現れ、月経痛は寝込んでしまうほどになります。
- 第四期 :癒着は膀胱や直腸など、骨盤の中にある臓器にひろがっていきます。癒着がひどく、固い一塊になってしまいます。月経時以外でも下腹部の痛みがひどくなります。
月経痛は、これまでの薬が効かないほどですか?経血が多くて、これまで使っていたナプキンでは、事足りなくなってきていますか?これらの症状に当てはまるようであれば、受診してみましょう。
子宮内膜症とピルとの関係
子宮内膜症の治療に、ピルが用いられます。ピルの効果や副作用について述べていきます。
ピルの効果
子宮内膜症には、EP配合製剤というピルを用います。Eは女性ホルモンのエストロゲン、Pは黄体ホルモンのことを指します。黄体ホルモンは、排卵から次の生理が始まるまで約2週間、増え続けます。受精卵が着床しやすいように子宮内膜を柔らかくして、体温を上げる作用があります。EP配合製剤は妊娠している状態と同じホルモンの状態にし、エストロゲンや黄体ホルモンの分泌を抑える働きをします。
子宮内膜症の進行を抑え、血の塊を小さくします。ピルの成分量によって、高用量、中用量、低用量の三種類がありますが、子宮内膜症には低用量が使われます。低価格で副作用も少ないというメリットがあります。
ピルのデメリット
乳首の張りや不正出血、つわりのような吐き気を感じることがあります。また、妊娠を望んでいる人は利用できません。また、ピルを忘れずに飲まなければなりません。ピルは28日を1周期として服用します。一日一錠を毎日決まった時間に飲みます。
ピルを飲み忘れてしまったら、24時間以内に気が付いた時点で飲みます。24時間以上たってしまった場合は服用を中止して、次の生理の初日から次の周期のものを飲み始めます。また、低用量ピルには保険がききません。
子宮内膜症と妊娠
ピルを用いて子宮内膜症を治療するとなると、妊娠は望めません。ただ、子宮内膜症が軽度の場合は、自然妊娠の可能性はあります。この場合、子宮内膜症の治療ではなく、不妊治療を優先します。黄体ホルモンが分泌されると、子宮内膜症は改善されます。
不妊治療で黄体ホルモンを分泌させることが、子宮内膜症の治療にもつながります。重症の場合は、子宮内膜症の治療を行ってから、不妊治療に入るようになります。医師と相談しながら、妊娠を目指します。
子宮内膜症の検査方法と治療方法
子宮内膜症の病院での検査方法、ピル以外の治療方法について述べます。
【1-3-1】子宮内膜症の検査方法
問診:初潮を迎えた年齢、生理の様子(前回の開始日や周期や痛み)、月経量、性交痛、排便痛、出産の経緯などを記入します。
内診:診察台で横になり、膣に指を入れます。癒着があるか、子宮の状態などを確認します。
超音波検査:経膣超音波検査が行われます。膣に器具を入れ、子宮周辺の組織を見ます。
腫瘍マーカー:子宮内膜症の場合、血液中の腫瘍マーカーの値が高くなることがあります。ただ、他の炎症がある場合もこの数値があがるので、これだけで判断することはありません。治療の効果を確認したり、再発していないかを見るときに使います。
MRI:超音波検査よりも詳しい検査が出来ます。癒着している部位や状態を確認出来ます。
膣に器具や指を入れると知ると、抵抗もありますが、早期に発見できれば、軽い治療で済みます。特に、妊娠を望んでいる人は、子宮内膜症が不妊の原因になっていることもあります。生理でないときに診察を受けるようにしましょう。
ピル以外の治療方法
ピル以外には、薬を用いて閉経期と同じようなホルモンの状態にし、エストロゲンの量を抑えます。GnRHアゴニストという薬を使います。これには、点鼻薬と注射薬があります。
GnRHアゴニストは6ヶ月以上します。更年期の症状である、のぼせ、ほてり、発汗、頭痛、肩こりなどの副作用が現れることがあります。また、進行して症状が重い場合は、手術をします。高周波で病巣を焼灼したり、洗浄したりします。病巣部分を摘出することもあります。状態によっては、子宮と卵巣を全て摘出することもあります。